Goodwood Cafe top / Woody Note top
 ■07年3月24日  アマゾンのほとり  (ブログ アーカイブス) ()

 ある雑誌のバックナンバー一覧を眺めていて、どうしても読みたい号があった。しかしそこには真っ赤な文字で「SOLD OUT」とある。オークションをチェックしたら出品されていたのだが、落札価格は定価の2倍以上の値段がつき、なんだかばかばかしくなって入札を降りた。
 しかしもしやと思い、amazonで検索をかけてみると、なんと普通に定価で扱っているではないか。僕は早速注文した。

 ところが発送の予定日を過ぎても一向に送られてくる気配がない。「手配中です」のメッセージのまま、ずるずると一ヶ月あまりが過ぎたころ、amazonから一通のメールが入った。要は「実は在庫ありませんでした。今探してます」的な内容が事務的に送られてきたのだが、「あきらめてくれ〜」みたいな空気がふんわりと言外から漂ってくるメールだった。
 そんなわけで入手はあきらめ、いずれ縁があればどこかの古本屋ででも見つかるだろうと思っていたのだが、それからまた一週間ほどした日のこと、突然いつものアマゾン箱に入ってそのバックナンバーの新品が届いたのである。
 これにはちょっと感心した。
 日々何万もの注文をさばくamazonで、こうしたイレギュラーな注文がきちんと最後まで処理されるとは。もちろん顧客のオーダーに責任を持つのは当たり前のことなのだが、僕がちょっと嬉しかったのは、たぶんこれ一冊のために頑張ってくれた人の姿が見えたからである。このバックナンバーはおそらくどこかの問屋か小売店の倉庫に眠っていたものに違いない。きっと担当のオニーサン(オネーサンかも知れないが)は取引先に電話をかけたりしてこの一冊を確保するために労力を裂いてくれたのだと思う。いわば巨大な河のほとりで地道な仕事を営む人間のにおいが感じられた気がして、僕は嬉しかったのだ。

 後日、そのバックナンバーのamazonの注文ページを開いてみた。きっとそのページには「ただいま在庫ありません」のメッセージが記されていることだろう。そのメッセージは僕の注文を担当してくれたオニーサンの頑張りの証でもあるのだ。最後の一冊を注文した者として、僕はそのページを確認しておきたい。


 …あ〜、てかまだフツーに売ってるんだ。 お〜、格安ユーズド品もよりどりみどりですか。
 商魂おそるべし。オニーサン、在庫集めすぎたのかな…。


 

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